性同一性障害とトランスジェンダー
- 6 日前
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トランスジェンダーと似たような言葉で、「性同一性障害」という言葉があります。この2つは違うものでしょうか。また、違う人々を指すのでしょうか。

性同一性障害という言葉は、英語の Gender Identity Disorder の訳で、日本でも医療の場で使われてきました。トランスジェンダーの人々が大学病院などで治療を受ける際のガイドラインも、従来はこの言葉を使って書かれていました。
「性同一性障害」という診断名が作られた当時の基準では、性同一性障害を精神疾患の一つとみなしていました。ここで「精神疾患」とは、本人の性自認そのものがおかしいという意味ではなく、その不一致から生じる苦痛や困難に対する医学的な支援が必要だという意味でした。しかし、この分類については、長い間、疑問が投げかけられてきました。
このため、世界保健機関(WHO)は、従来の「性同一性障害」という分類を「性別不合」へと変更しました(国際疾病分類第11版。2019年採択、22年発効。日本では27年からの運用に向け準備中)、これは、Gender Incongruence という英語を日本語に訳したものです。性別不合は精神疾患ではなく、性の健康に関わる状態の一つとして位置づけられています。日本の精神神経学会も、2025年11月に、従来のガイドラインを「性別不合に関する診断と治療のガイドライン」に改めました。
一方、トランスジェンダーという言葉は医学的な診断名ではありません。当事者たちが、医学的な定義に頼らずに自身のあり方を表現するために作られた言葉で、現在では、メディアなどでも一般的に使われています。まったく別の人々を指す言葉ではなく、違う立場から2つの言葉が作られたと考えた方がよいでしょう。
なお、出生時に割り当てられた性別に違和感を感じる人々の中にも、様々な立場の人がいます。自分は医学的な診断は受けないという人もいれば、逆に、トランスジェンダーと呼ばれることに抵抗を感じ診断名で呼ばれることを望む人もいます。前回お伝えしたように、一人ひとりの思いやあり方を踏まえて、言葉を使っていくことが大切だと言えるでしょう。



