性的マイノリティの人口比
- 永易至文

- 2025年11月17日
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セクシュアリティについての統計調査には、対象者が偏見を恐れて正しく答えない可能性や、セクシュアリティに関する言葉の定義の難しさなどの課題があり、実態を反映した信頼性の高い統計を取ることは難しいとされています。ここでは参考までに、代表的な調査結果をいくつかご紹介します。

日本では、まずゲイ男性とHIV予防対策に関連した研究で、予防対策の対象としてMSM(男性とセックスする男性、Men who have Sex with Men)の人口割合を調べた2009年の研究があります。(2008年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業「男性同性間のHIV感染対策とその介入効果に関する研究(研究代表者:市川誠一)」)。それによると20歳以上60歳未満の男性を対象として得た1659件の回答のうち、性交渉の相手が同性のみ、または同性と異性の両方と回答した割合は2.0%でした。
トランスジェンダーについての調査では、トランスジェンダーのうち性同一性障害の診断を得るレベルの発症率について、北海道文教大などのグループが札幌市内では約2800人に1人と推計できると発表しました(2013年)。国内の総人口に当てはめると、全国では約4万4千人、人口比では0.036%になります。
セクシュアリティに着目した研究としては、2019年に、国立社会保障・人口問題研究所が大阪市在住の18歳から59歳までの1万5000人に郵送調査したものがあります。結果は、ゲイ・レズビアン:0.7%、バイセクシュアル:1.4%、アセクシュアル:0.8%、決めたくない・決めていない:5.2%でした。性自認でトランスジェンダーと答えた割合は、0.7%でした。
「LGBTは8.9%」という数字は、2018年に電通ダイバーシティ・ラボが発表したもので、メディアなどでよく引用されます。これは身体的性別と性自認が一致し、性的指向が異性であると答えた人「以外」をLGBT層と規定したもので、かならずしもLとGとBとTの合計が8.9%というわけではありません。同社のレポートで市場規模は5.42兆円と試算するなど、企業に訴求するべくマーケティングの視点から出された数字であり、その理解や引用には一定の留保が必要であろうと、私自身は考えています。



