病院や介護での対応はいまどうなっているか
- 永易至文
- 7月24日
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更新日:7月31日
病院で同性パートナーに対して、「親族でないから」として、説明や面会から排除された事例は現在でも起こっています。これが男女なら、苗字が違う事実婚でもなにも言われないであろうに、同性ふたりとなると、「個人情報保護のためお話しできません」というわけです

ただ、近年は本人の自己決定尊重の流れで、本人が帯同する家族等には本人の同意があるものとして説明をするようになっています。またその対象は家族「等」と、親族に限定していません。(厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」最新改訂:令和7年6月)。意識不明で搬送され、本人の意思確認がとりにくい場合にそなえ、あらかじめキーパーソンとしてパートナーを指定しておく書面などがあると安心です(自治体パートナーシップ証明も、こういう場面では有効です)。
しかし、手術をともなう場面では、緊急連絡先や身元保証人にはいまでも「親族限定」「血縁のかたでお願いします」と言われることはあるようです。万一、そのまま亡くなれば、あとは法定相続人しかかかわれないから、ということなのかもしれません。
介護休業法では配偶者の介護のために介護休暇をとる権利を定めています。しかし、前項でご紹介したのと同様、この法律は配偶者の定義に事実婚は含んでも同性パートナーが含まれるか明確でないため、法的権利でもある介護休暇をとることは困難です。そのためにパートナー間でやむなく養子縁組し、法律上の親子になって介護休業を使ったゲイカップルの事例があります。
同性パートナーの法的地位が確立しないかぎり(つまり同性婚が実現しないかぎり)、根本的な解決には至らないようです。