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社会保険に規定がない同性カップル

  • 執筆者の写真: 永易至文
    永易至文
  • 7月23日
  • 読了時間: 2分

更新日:7月31日

前項でご紹介した民間の保険と異なり、義務として加入しなければいけない社会保険(健康保険や公的年金)ではどうでしょうか。

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社会保険に関する法律では「配偶者」には事実婚を含み、「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含む」と注記されています。たとえば年収が130万円未満の場合、サラリーマンのパートナーは「被扶養者」として相手の健康保険で自分も病院にかかれたり、相手の厚生年金で基礎年金が保障されたりしますね(3号被保険者)。


一方、同性パートナーは、「婚姻の届出をできないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの」です。カップルの一方が年収130万円未満の場合、事実婚夫婦と同様の保障があるのでしょうか。法律にはできるともできないとも書いてない。まさに法の空白になっています。


ところで、犯罪被害者給付金訴訟という裁判で、最高裁は2024年にある判断を示しました。この法律は、殺人など犯罪被害にあった人の遺族に国が見舞金を出す制度ですが、ここでも配偶者に、「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む」とあります。これに同性パートナーも含むのかが争われた裁判です。


最高裁の判決では、被害を救済するというこの法律の趣旨は同性でも異性でもおなじで、差をつける理由はない、としました。(最判2024年3月26日


この判決はあくまで犯罪被害者給付金の制度に限定したものですが、社会保険をはじめ同様の文言のある法令はたくさんあり、これらへ波及するのか、ほかの法律についておなじような訴訟を起こされたらどうなるのか、と政府もとりまとめや検討を始めているとのことです。

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